○南但消防本部国民保護消防計画
平成25年4月1日
消防本部訓令第39号
1 計画の前提条件
(1) 計画の位置づけ
この計画は、南但消防本部警防規程(平成25年消防本部訓令第26号)第11条に定める、消防本部が行う武力攻撃等による災害(以下「武力攻撃災害」という。)発生時の初動対応要領について定めるものである。
(2) 計画の対象
ア 想定事態
(ア) 武力攻撃事態の類型及び特徴、留意点
a 着上陸侵攻
【攻撃目標となりやすい地域】 ・船舶により上陸を行う場合は、上陸用の小型船舶等が接岸容易な地形を有する沿岸部が当初の侵攻目標となりやすい。 ・航空機により侵攻部隊を投入する場合は、大型の輸送機が離着陸可能な空港が存在する地域(特に当該空港が上陸用の小型船舶等の接岸容易な地域と接している場合)が目標となりやすい。 ・着上陸に先立ち航空機や弾道ミサイルによる攻撃が実施される可能性が高い。 【想定される主な被害】 ・主として、爆弾、砲弾等による家屋、施設等の破壊、火災等が考えられ、石油コンビナートなど、攻撃目標となる施設の種類によっては、二次被害の発生が想定される。 【被害の範囲・期間】 ・一般的に保護措置を実施すべき地域が広範囲になるとともに、その期間も比較的長期間に及ぶことが予想される。 【事態の予測】 ・敵国による船舶、戦闘機の集結の状況、日本へ侵攻する船舶等の方向等から予測が可能である。 【留意点】 ・事前の準備が可能であり、戦闘が予想される地域から先行して避難させるとともに、広域避難が必要となるため、国の対策本部長の具体的な避難措置の指示を踏まえ適切に対応する必要がある。 ・広範囲にわたる武力攻撃災害が想定され、武力攻撃が終結した後の復旧が重要な課題となる。 |
b ゲリラ・特殊部隊による攻撃
【攻撃目標となりやすい地域】 ・都市部の政治経済の中枢、鉄道、橋梁、ダム、原子力関連施設などに対する注意が必要である。 ・海岸から潜入した後、攻撃目標へ移動することが考えられる。 【想定される主な被害】 ・少人数グループにより行われるため、使用可能な武器も限定されることから施設等の破壊が考えられる。 ・NBC兵器やダーティボム(放射性物質を散布することにより放射能汚染を引き起こすことを意図した爆弾)が使用される場合がある。 【被害の範囲・期間】 ・被害は比較的狭い範囲に限定されるのが一般的であるが、攻撃目標となる施設(原子力事業所等の生活関連等施設等)の種類によっては、二次被害の発生も想定される。 【事態の予測】 ・警察・自衛隊等による監視活動等により、その兆候の早期発見に努めることとなるが、攻撃者もその行動を秘匿するため、事前にその活動を予測あるいは察知できず、突発的に被害が生ずることも考えられる。 【留意点】 ・危害が住民に及ぶおそれがある地域においては、武力攻撃の態様に応じて、攻撃当初は屋内に一時避難させ、その後、関係機関が安全の措置を講じつつ適当な避難地に移動させる等適切な対応を行う。 ・事態の状況により、知事の緊急通報の発令、市長又は知事の退避の指示又は警戒区域の設定など事態の経緯に応じた措置を行うことが必要である。 |
c 弾道ミサイル攻撃
【攻撃目標となりやすい地域】 ・発射の兆候を事前に察知した場合でも、発射された段階で攻撃目標を特定することは極めて困難である。 【想定される主な被害】 ・通常弾頭の場合には、家屋、施設等の破壊、火災等が考えられる。 【被害の範囲・期間】 ・弾頭の種類(通常弾等又はNBC弾頭)を着弾前に特定することは困難であるとともに、弾頭の種類に応じて、被害の様相及び対応が大きく異なる。 【事態の予測】 ・極めて短時間で日本に着弾することが予想される。 【留意点】 ・迅速な情報伝達体制と適切な対応によって被害の拡大を抑制することが重要である。 ・警報と同時に近くのコンクリート造り等の堅牢な施設や地下街等の地下施設など屋内へ避難させ、着弾後、被害状況を迅速に把握したうえで、事態の態様、被害の状況等に応じ、他の安全な地域への避難の指示を行う。 |
d 航空攻撃
【攻撃目標となりやすい地域】 ・航空機攻撃を行う側の意図及び弾薬の種類等により異なるが、その威力を最大限に発揮することを敵国が意図すれば、都市部が主要な目標となることが予想される。 ・ライフラインのインフラ施設が目標となることも予想される。 【想定される主な被害】 ・通常弾頭の場合には、家屋、施設等の破壊、火災等が考えられる。 【被害の範囲・期間】 ・その意図が達成されるまで繰り返し攻撃が行われることも考えられる。 【事態の予測】 ・弾道ミサイル攻撃の場合に比べその兆候を察知することは比較的容易であるが、対応の時間が少なく、また攻撃目標を特定することが困難である。 【留意点】 ・攻撃の目標を限定せずに屋内への避難等の避難措置を広範囲に指示する必要がある。 ・生活関連等施設に対する攻撃がある場合は、被害が拡大するおそれがあるため、特に当該施設の安全確保、武力攻撃災害の発生・拡大の防止等の措置を実施する必要がある。 |
e NBC攻撃
核兵器等 | 【想定される主な被害】 ・核爆発によって、熱線、爆風及び初期核放射線が発生し、物質の燃焼、建築物の破壊、放射能汚染の被害を短時間にもたらす。 ・放射性投下物(放射能を持った灰)は、爆発による上昇気流によって上空に吸い上げられ、拡散、降下するため、熱線や爆風による被害よりも広範囲の地域に被害が拡大する。 ・放射性降下物の皮膚への付着による外部被ばく、あるいは放射性降下物の吸飲や汚染された飲料水や食物の摂取による内部被ばくにより、放射線障害が発生するおそれがある。 ・ダーテイボム(放射性物質飛散装置)は、核兵器に比して小規模ではあるが、爆薬による爆発の被害と放射能による被害をもたらす。 【留意点】 ・熱線による熱傷や放射線障害等、核兵器特有の傷病に対する医療が必要となる。 ・避難にあたっては、風下方向を避け、手袋、帽子、ゴーグル、雨ガッパ等により、少なくとも放射性降下物の皮膚への付着を抑えるとともに、口及び鼻を汚染されていないタオル等で保護する他、汚染された疑いがある水や食物の摂取を避けるなど、被ばくを防止することが重要である。 ・放射性ヨウ素による体内汚染が予想されるときは、安定ヨウ素剤の服用等により内部被ばくの低減に努める必要がある。 ・汚染地域への立入り制限を確実に行い、救急救助活動や医療活動にあたる要員の被ばく管理を適切にすることが必要である。 |
生物兵器 | 【想定される主な被害】 ・生物剤は、人に知られることなく散布が可能であり、また潜伏期間に感染者が移動することにより、散布判明時には、すでに被害が拡大している可能性がある。 ・生物剤の特性(ヒトからヒトへの感染力、ワクチンの有無、すでに知られている生物剤か否か等)により被害の範囲が異なるが、ヒトを媒体とする生物剤による攻撃の場合、二次感染により被害が拡大することが考えられる。 【留意点】 ・国(厚生労働省)及び県は、一時的情報収集、データ解析等サーベイランス(疾病監視)により、感染源及び汚染地域を特定し、感染源となった病原体の特性に応じた医療活動及びまんえん防止を行うことが重要である。 |
化学兵器 | 【想定される主な被害】 ・一般に化学剤は、地形・気象等の影響を受け、風下方向に拡散し、空気より重いサリン等の神経剤は下を這うように広がる。 ・特有の臭いがあるもの、無臭のもの等、その性質は化学剤の種類によって異なる。 【留意点】 ・原因物質の検知及び汚染地域の特定又は予測を行い、住民を安全な風上の高台に誘導する等、適切な避難措置が必要である。 ・汚染者については、可能な限り除染し、原因物質の特性に応じた救急医療を行うことが重要である。 ・化学剤はそのままでは分解・消滅しないため、汚染された地域を除染して、原因物質を取り除くことが重要である。 |
(イ) 緊急対処事態
a 攻撃対象施設等による分類
分類 | 事態例 | 被害の概要 |
危険物を内在する物質を有する施設等に対する攻撃が行われる事態 | 原子力事業所等の破壊 | ・大量の放射性物質等が放出され、周辺住民が被ばく ・汚染された飲食物を摂取した住民が被ばく |
石油コンビナート、可燃性ガス貯蔵施設等の爆破 | ・爆発及び火災の発生により住民に被害が発生 ・建物、ライフライン等が被災し、社会経済活動に支障 | |
危険物積載船への攻撃 | ・危険物の拡散による沿岸住民への被害が発生 ・港湾及び航路の閉塞、海洋資源の汚染等社会経済活動に支障 | |
ダムの破壊 | ダムの下流に多大な被害が発生 | |
多大の人が集合する施設、大量輸送機関等に対する攻撃が行われる事態 | ・大規模集客施設・ターミナル駅の爆破 ・列車等の爆破 | ・爆破による人的被害が発生し、施設が破壊した場合には人的被害は多大 |
b 攻撃手段による分類
分類 | 事態例 | 被害の概要 |
多数の人を殺傷する特性を有する物質等による攻撃が行われる事態 | ダーティボム等の爆発による放射能の拡散 | ・爆弾の破片及び飛び散った物体による被害並びに熱及び炎による被害等が発生 ・ダーティボムの放射線による細胞機能の撹乱により、後年にガン発症の可能性あり ・小型核爆弾については、核兵器の特徴と同様 |
炭素菌等生物剤の航空機等による大量散布 | ・生物剤の特徴は、生物兵器の特徴と同様 | |
市街地等におけるサリン等化学剤の大量散布 | ・化学剤の特徴は、化学兵器の特徴と同様 | |
水源地に対する毒素等の混入 | ・毒素の特徴は、化学兵器の特徴と類似 | |
破壊の手段として交通機関を用いた攻撃等が行われる事態 | ・航空機等による多数の死傷者を伴う自爆テロ ・弾道ミサイル等の飛来 | ・施設の破壊に伴う人的被害が発生(施設の規模によって被害の大きさが変化) ・攻撃目標である施設周辺への被害も予想 ・爆発、火災等の発生により住民に被害が発生 ・建物、ライフライン等が被災し、社会経済活動に支障 |
2 消防機関の責務
(1) 武力攻撃災害対応
武力攻撃災害が発生した場合、国民保護法、消防組織法、消防法及びその他の関係法令に基づき、装備及び人員等を活用し、住民の生命、身体、財産を保護するために、消火・救助・救急活動を実施するものとする。
(2) 警報発令及び避難指示
武力攻撃事態等により警報の発令及び避難指示が実施された場合、養父市国民保護計画及び朝来市国民保護計画に基づき、関係機関と連携して住民に伝達するとともに、養父市・朝来市国民保護対策本部(以下「両市対策本部」という。)本部長指揮のもとに住民の避難誘導を実施するものとする。
3 平素からの備え
(1) 組織・体制の整備
ア 初動体制整備
(ア) 原因不明な事故や大規模な事故により多数の死傷者が発生した場合又はその事故が武力攻撃災害の疑いがある場合は、直ちに養父市・朝来市担当部局に即報するとともに、警察等の関係機関と連携を密にして情報収集に努めるものとする。
(イ) 人的・物的被害の拡大及び原因・状況が徐々に判明した場合又は兵庫県の近隣府県内で武力攻撃事態が認定された場合は、課長以上を1号非常招集して災害対応及び応援出動・要請等の検討をするものとする。
イ 武力攻撃事態認定後の体制整備
(ア) 消防本部国民保護対策本部の設置
兵庫県内で武力攻撃事態と認定された場合又は南但消防本部管轄区域内で武力攻撃災害が発生した場合は、直ちに消防本部国民保護対策本部(以下「消防本部対策本部」という。)を設置するともに3号非常招集を行うものとする。消防本部対策本部は、消防長を本部長とし、本部組織及び事務分掌は、下図のとおりとする。なお、組織が整うまでの間は当務で情報収集等を行うものとする。
(イ) 消防本部対策本部の組織編成及び任務分担
班 | 班長 | 事務分掌 |
総務班 | 管理課長 予防課長 | 1 消防本部対策本部の設置に関すること 2 災害防御方針の決定について 3 災害対策全般の調整に関すること 4 養父市・朝来市対策本部への派遣・連絡調整に関すること 5 被害調査隊・広報隊に関すること 6 非常招集に関すること 7 受援・応援に関すること 8 燃料、食料等の調達に関すること 9 その他本部長の特命に関すること |
消防班 | 副署長 消防課長 | 1 部隊編成及び出動部隊に関すること 2 火災・救助・救急活動に関すること 3 資機材の調達に関すること 4 消防団・警察等の連携に関すること 5 避難誘導に関すること 6 その他本部長の特命に関すること |
通信班 | 消防課長 通信担当参事 | 1 初動時の災害概要の把握に関すること 2 災害受信と出動指令に関すること 3 消防部隊の統制的運用に関すること 4 各種防災情報システムの運用に関すること 5 通信施設の運用、管理統制に関すること 6 警報等の伝達に関すること 7 その他本部長の特命に関すること |
(ウ) 装備・資機材の整備
本部長は、武力攻撃災害やテロによる災害に対応するため、NBC対応資機材等必要な装備及び資機材の整備に努める。
(2) 訓練・普及啓発
本部長は、養父市国民保護計画及び朝来市国民保護計画に基づく訓練に参画するとともに、住民に対する国民保護の普及啓発に努める。
(3) 消防職員教育
本部長は、職員を兵庫県、消防学校等の研修に積極的に参加させるとともに、パンフレット及び教材を活用して消防職員の教育を行い、国民保護の知見を有する職員を積極的に養成する。
(4) 消防本部と消防団の連携
本部長は、消防団との情報連絡体制を構築するとともに合同訓練を実施し、武力攻撃災害への対処や警報の伝達、避難住民の誘導について実践的な連携要領を確認する。
4 非常配備態勢
非常配備態勢は、下記のとおりとする。
区分 | 発令等 | 招集体制 | 活動骨子 |
第1号非常配備態勢 | 兵庫県の近隣府県内で武力攻撃事態が認定された場合 | 1 課長以上1号非常招集 2 副課長以下自宅待機 | 1 通信勤務員4名体制 2 組織編成 3 管内状況調査 |
第2号非常配備態勢 | 兵庫県内で武力攻撃事態と認定された場合又は南但消防本部管轄区域内で武力攻撃災害が発生した場合 | 1 3号非常招集 | 1 消防本部対策本部設置 2 両市対策本部に各1名派遣 3 通信勤務員7名体制 4 部隊編成 5 災害対応・避難誘導 |
5 国民保護消防職員動員計画
(1) 参集の原則
ア 自発的参集
消防職員(以下「職員」という。)は、常に非常招集に応じられる態勢を整え、テレビ等により武力攻撃事態等の情報を積極的に把握するものとする。また、非常招集の発令の有無及びその他必要事項を確かめるとともに、発令前であっても発令の可能性が十分にあることを覚知したときは、自発的に参集しなければならない。
イ 職員の心得
職員は、武力攻撃災害に備え平素から様々な情報入手手段、通信連絡手段を確保する。また、参集時に必要な携行品を備えておくものとする。
(2) 参集要領
自家用車で参集できないときは、自転車、自動二輪車等又は徒歩で参集するものとする。
(3) 参集区分
職員は、原則として各自の勤務署所に参集するものとする。ただし、道路事象等により参集に長時間要する場合は、最寄りの署所への参集も可とし、その旨を消防本部対策本部に報告するものとする。
(4) 参集途上の留意事項
ア 服装及び携行品
参集時の服装は、原則として活動服とし、免許証、着替え、食料、飲料水、携帯電話等身分を明らかにするもの、長期活動への備え、情報入手・伝達手段などに留意した携行品を持参すること。
イ 参集途上の情報収集
参集途上で把握した災害情報(火災情報、人的被害情報、通行障害情報)は、参集後消防本部対策本部に報告すること。
ウ 火災等に遭遇した場合の措置
火災又は救助事案等に遭遇した場合は、自己の行動で短時間に消火、救出等の処置ができると判断した場合は努めて処置する。処置できない場合は、速やかに消防本部対策本部に伝えるとともに付近住民になすべき措置を簡潔に指示するものとする。
6 消防本部国民保護消防部隊編成
(1) 編成基準
本部長は、武力攻撃事態と認定された場合、武力攻撃災害に備えて消防隊、救急・救助隊の増強を優先に行い、参集職員に応じて部隊を編成するものとする。
(2) 編成する部隊
ア 総務班 管理課・予防課員
イ 消防班
朝来消防署 指揮車、タンク車、救助工作車、ポンプ車、はしご車
救急車2台、広報車
生野出張所 指揮車、タンク車、救急車
養父消防署 指揮車、化学車、救助工作車、ポンプ車、救急車2台、広報車
大屋出張所 指揮車、ポンプ車、救急車
ウ 通信班 消防署通信指令員
7 武力攻撃災害情報
武力攻撃災害情報の取扱いは、次のとおりとする。
(1) 情報の種類
ア 火災情報→火災の件数・種別、発生場所、規模、延焼方向、防御状況、鎮圧、鎮火等
イ 救急・救助情報→発生場所・災害の状況・傷病者の数等
ウ 二次災害情報→危険物、LPG等の漏洩、土砂災害等
エ 部隊情報→編成部隊数、出動部隊数、過不足部隊等
オ 人的被害情報→要救助者数、発生場所、救出結果、搬送情報、病院情報等
カ 水利、活動障害情報→消防水利の使用可否、道路通行障害、庁舎倒壊等
キ 避難情報→避難状況等
ク 近隣被害→近隣地域の情報(震度、被害の有無、応援の要否)
(2) 本部情報収集体制
ア 本部体制が整うまで
(ア) 情報収集体制
休日、夜間等で本部体制が整うまでの間は、当務隊長又は通信担当者(以下「通信担当者等」という。)は、情報収集責任者として収集にあたるものとする。
(イ) 初動時情報及び対応
通信担当者等は、武力攻撃災害時に通信機器等の点検を行うとともに、管轄区域内の被害の全体像及び消防部隊の対応状況を、次に掲げる手段で速やかに把握し記録するものとする。
情報項目 | 情報内容 | 手段 |
災害情報 | 武力攻撃災害範囲、規模 養父市・朝来市内の火災・救急・救助状況 | フェニックス防災システム Jアラート、Em―NET テレビ、ラジオ等 119番通報・市役所支所・(無線、有線) |
部隊情報 | 編成部隊数、出動隊数、過不足数 | |
人的被害 | 倒壊情報、負傷者見込み、庁舎倒壊、職員被害 | |
近隣情報 | 近隣被害の状況、応援必要消防本部 | 県内共通波、電話 |
イ 本部体制完了後
副本部長は、通信担当者等から情報の収集を行うとともに、その整理及び分析を行い本部長に報告する。
ウ 情報収集手段(括弧内は運用責任者)
情報収集の手段は時系列に従い次のとおりとする。
(ア) 武力攻撃災害発生直後
a 119番通報受信 (通信担当参事等)
b 養父署・生野、大屋出張所からの情報 (副署長・出張所長)
c 国・県からの情報 (当務責任者)
d テレビ、ラジオ等の視聴 (当務責任者)
e フェニックス防災システム (通信担当参事等)
f 兵庫県衛星通信ネットワーク (通信担当参事等)
g Jアラート、Em―NET(通信担当参事等)
(イ) 武力攻撃災害発生1時間以内
a 参集職員からの情報 (通信担当参事等)
b 被害調査隊からの情報 (通信担当参事等)
c 朝来市役所、支所からの情報 (通信担当参事等)
d ライフライン被害情報 (通信担当参事等)
(ウ) 災害時優先電話の活用
a 672―5390(指令台収容回線)
b 670―2214(指令台ISDN回線)
c 672―5046(FAX回線)
d 672―5904(緊急通報システム回線)
e 662―0119(養父署回線)
f 679―4119(生野出張所回線)
g 669―0119(大屋出張所回線)
h 090―3280―0776(朝来救急車3)
i 090―3267―8451(朝来救急車13)
j 080―1490―5482(養父救急車10)
k 080―2443―1812(養父救急車6)
(エ) 非常電話、緊急電話の活用
a 申込み電話番号 「102」
b 非常・緊急扱い通話の申込み
c 登録名称は南但消防本部 電話番号は災害時優先電話
d 相手方の電話番号
e 通話の概要
エ 国、県等への報告
国、県、両市対策本部等への報告、連絡については次により行う。
(ア) 両市対策本部への報告
各種情報収集手段により入手、整理した情報を電話及びFAXにより報告する。また、2号配備態勢となった場合には、両市対策本部に各1名を派遣し、連絡調整を図り相互の情報交換を密にする。
(イ) 国、県への報告
初期情報は時期を失することのないよう、電話等により災害概要を口頭で報告する。また、国への報告は原則として、県を経由して行う。ただし、緊急を要する情報については、同時発信する。
なお、続報については災害報告取扱要領(昭和45年4月10日付消防第246号)による災害即報、災害概況即報により行う。
関係機関への通報は、次のとおりとする。
兵庫県企画管理部 災害対策局消防課 | 昼間 | 電話 | 078―362―982 テロ:指導係078―362―7711 |
FAX | 078―362―9915 テロ:指導係078―362―9833 | ||
衛星電話 | 7―151―3411(消防係) | ||
衛星FAX | 7―151―3414(指導係) | ||
夜間 休日 | 電話 | 078―362―9900 | |
FAX | 078―362―9911 | ||
衛星電話 | 7―151―5870 | ||
衛星FAX | 7―151―6384 | ||
神戸市消防局 | 電話 | 078―322―5750 | |
FAX | 078―392―2119 | ||
衛星FAX | 7―100―62 | ||
消防庁震災等 応急室 | 昼間 | 電話 | 03―5253―7527 テロ:防災課03―5253―7525 救急救助:03―5253―7529 |
FAX | 03―5253―7537 テロ:防災課03―5253―7535 救急救助:03―5253―7539 | ||
夜間等 | 電話 | 03―5253―7777 | |
FAX | 03―5253―7553 | ||
衛星 平日 | 電話 | 048―500―7527 | |
FAX | 048―500―7537 | ||
衛星 休日等 | 電話 | 048―500―7782 | |
FAX | 048―500―7789 |
8 武力攻撃災害消防活動
(1) 活動方針
武力攻撃災害の消防活動は、戦闘行為が終結あるいは侵略行為が終息した後の活動を原則とし、各小隊単位の活動が予想されるため、出動隊は自己隊の責任で対処する決意を持って災害活動を実施することとする。従って、職員は災害対応について共通の認識を持つことが基本であり、以下の各攻撃の活動、火災・救助・救急活動原則、方針、要領を周知徹底することが肝要である。
(2) 弾道ミサイル攻撃の場合
ア 災害の特徴
弾頭の種類(通常弾頭か、NBC弾頭か)により、被害の様相と対処が大きく異なる。
イ 活動
(ア) 通常弾頭着弾後は爆発災害と同様の対処
(イ) NBC弾頭が着弾した場合は活動に伴う危険性が高く、慎重な対応(NBC災害対処)が必要
(ウ) 火災の消火
(エ) 要救助者の救助、救急
(オ) 避難住民の誘導
(カ) 災害に関する情報の収集及び提供
(キ) 消防警戒区域の設定
ウ 安全確保措置
弾頭の種類が判明するまでの間は、常に危険性の高いNBC弾頭の可能性を念頭に置いた消防活動を行うことが重要である。
(3) ゲリラ・特殊部隊による攻撃の場合
ア 災害の特徴
(ア) 都市部の政治・経済の中枢、鉄道、橋梁、原子力施設などが目標
(イ) 攻撃される施設の種類などにより、危険な区域が変化
(ウ) 爆発物の使用やNBCの散布などの攻撃
イ 活動
(ア) 避難住民の誘導
(イ) 災害に関する情報の収集及び提供
(ウ) 火災の消火
(エ) 要救助者の救助・救急
(オ) 消防警戒区域の設定
ウ 安全確保措置
(ア) 国、警察等から情報を収集し、活動する区域の安全を確認
(イ) 警戒区域内で活動する場合は、現場における警察等の関係機関から安全に関する情報の収集
(4) 着上陸侵略・航空攻撃の場合
ア 攻撃の特徴
(ア) 大規模な準備を必要とすることなどから兆候を事前に察知することは比較的容易
(イ) 国民保護措置を実施すべき地域が広範囲かつ比較的長期間
イ 活動
(ア) 国の対処基本方針、両市対策本部等の方針に基づく活動
(イ) 安全が確保された地域において、消防団が中心となって行う避難住民の誘導などの支援
(5) 火災
ア 活動の原則
(ア) 消火活動優先の原則
武力攻撃時においては、火災、救助、救急の事案が同時に多発し、災害全般に対し消防力が劣勢になる。
このような状況下で、人的・社会的被害を最小限に食い止めるために必要な消防の任務は、火災の早期発見と一挙鎮圧を最優先として、全組織力を上げて消火活動に着手する。
(イ) 避難誘導優先の原則
火災が消防力を超え延焼拡大し、又は強風等により火災の鎮圧ができない場合は、人命安全を最優先に、市民の避難誘導を優先するとともに避難場所、避難路の確保のための活動を優先に行う。
(ウ) 重点防御地域優先の原則
同時に複数の火災を覚知した場合は、風向、密集地の延焼危険性、水利情勢、病院・福祉施設の立地、危険物施設の立地等の各種要因を総合的に判断して、重点的に防御すべき地域へ優先的に部隊を投入する。
(エ) 火災出動の原則
武力攻撃直後の同時多発火災出動は、1火災2隊の出動体制を原則とし、できる限り未着手の現場がないよう分散出動させる。ただし、延焼危険の高い地域、あるいは水利遠隔地域で、2隊では消火効果が期待できないと判断される火災現場については本部長の判断により部隊を増強する。
また、人命危険・延焼拡大危険がないと認められる火災現場については、現場指揮者の状況判断で自然鎮火に委ね、速やかに他の現場に転戦する。
(オ) 水利部署の原則
消火栓断水に備え、出動時に消火栓以外の防火水槽、自然水利を確認して出動するものとする。なお、40t級防火水槽への部署は2隊までとする。
(カ) 多口放水の原則
消火隊(B2級以上のポンプの場合)の放水口数は、1隊2口以上を確保する。人員不足の場合は、消防団員、付近住民等の協力を求め、できる限り多口放水に努め火勢を一気に制圧する。
(キ) 目的現場優先の原則
目的の火災現場への出動途上に、未把握の火災や救助現場を発見した場合は、必ずその情報を消防本部対策本部に連絡し、原則として命令を受けた現場を目指す。
なお、発見した災害現場に緊迫する人命危険が存在するときはこの限りでない。
(ク) 出動経路の選定原則
出動経路は広い幅員を有する道路等で、かつ家屋や電柱の倒壊による通行障害の少ない経路を選定して出動する。
(ケ) 出動途上あるいは現場活動中についても、出火防止、初期消火、火気使用の禁止、消火協力の依頼など状況に応じた広報を積極的に実施し活動効果の向上を図る。
イ 消火活動要領
(ア) 防御担当面
消火活動は、延焼阻止に主眼を置き筒先1口の防御担当面は、概ね10mとする。
(イ) 火災規模・経過別消火要領
各現場指揮者は、火災現場の状況を的確かつ速やかに掌握し、次のa~eのどの段階であるかを判断し、消火方針を決定するものとする。
a 積極的消火活動
火災の覚知が早期で、火災初期の現場については、屋内進入するなど積極的な放水を行い火災の一挙鎮圧を目指す。
b 効果的活動
火災が一つの建物から隣接建物へ延焼した現場については、延焼方向、隣接する建物の構造や開口部の状況、街区内道路や空地の配置状況等を考慮し、街区火災で止めるよう効果的な筒先配置を行う。
c 集中的消火活動
火災が広い範囲に拡大し、消防力が劣勢になった場合は、住民の避難を徹底するとともに、風向、延焼加速媒体(木造密集、危険物施設、ガスの漏洩等)などの状況判断を的確に行い、広幅員道路、河川、軌道敷・高架、公園、空地等の不燃空間を活用して延焼阻止線を設定し、当該場所に消防力を集中させて延焼を阻止する。なお、筒先配備は、風下、風横の順とし、次の点に留意する。
(a) 風下での活動
風下での延焼阻止線の活動は、部分破壊を併用しながら前面街区に十分な予備注水を行い、火災を一時弱め最終的に道路等の延焼阻止線で阻止する。
(b) 風横での活動
火勢が熾烈な場合は、火流の風下より側面に部署し、両側から下流を挟撃して逐次火流の幅を狭め、最終的に道路等の延焼阻止線で阻止する。
d 破壊消防
人命危険の皆無が確認できる場合は、現場最高指揮者の判断で、延焼阻止のための破壊消防を実施する。
e 転戦の時期
転戦は他への延焼危険がなくなった鎮圧の時期とし、部分的な燃焼及び残火整理は消防団、自主防災組織等に委ねる。
ウ 消防団、自主防災組織等への協力要請
初期消火及び現場での活動支援、飛火警戒、残火処理等について、消防団、自主防災組織等への協力を求め、消防力を効果的かつ最大限に発揮できるようにする。
エ 水源の確保
消火栓断水時においては、本部長は養父市・朝来市上下水道担当部長に対し、火災区域の通水策を講じるよう要請するものとする。なお、取水可能な水管経路について、養父市・朝来市上下水道担当部局と事前に調査研究しておくものとする。
(6) 救助
ア 活動の原則
(ア) 救命活動の優先
救助活動は、人命救助を最優先に、救命処置を要する重症者を優先する。
(イ) 火災現場付近優先の原則
規模が同じ程度の救助事案が、火災現場付近とその他の場所に同時に発生した場合は火災現場付近を優先する。
(ウ) 救助効率優先の原則
同時に複数の救助事案が発生した場合は、原則として少数隊員で多数の人命を救助できる事案を優先する。なお、救助人員に比べて多数の要救助者がある場合は、容易に救出できるものを優先し、短時間に一人でも多く救出する。
(エ) 多数人命危険対象優先の原則
病院、社会福祉施設などの自力避難の困難なものの存する施設を優先する。また、中高層建物、大型店舗などで不特定多数の者を収容している対象物の救助事案にも留意する。
(オ) 住民等への協力要請
救出作業については、消防団員、自主防災組織等で救出可能な事案についてはできる限り協力要請し、救出に技術を要する事案について救助隊が行うなど役割分担を積極的に行い活動効果を上げる。
イ 救助活動体制
火災の発生状況との関係から、救助活動を次のとおり分類する。
(ア) 火災に対し消防力劣勢時
延焼火災が多発し、全力を挙げて消火活動を行う必要がある場合は、救助隊は火災現場及びその周辺で救助活動を行うほか、現場最高指揮者からの命令があれば消火活動を行う。
(イ) 火災に対して消防力優性時
延焼火災は発生しているが、現有消防力で対応できる見通しがあり、ポンプ隊等による救助活動が可能な場合は、消火活動と平行して救助活動を実施する。
ウ 救助活動要領
(ア) 重機等の要請
重機の調達については、本部長から両市対策本部へ要請する。
(イ) 関係機関との連携
救助活動に関しては、両市対策本部、自衛隊、警察等の関係機関と救出エリアの分担、要救助者の情報交換等の情報の共有を図り効果的な活動を行う。
(ウ) 救助活動の目安
救助活動は原則として、3日間(72時間)で管内を網羅できるよう計画し、この間については24時間体制での活動を確保する。なお、救助活動は原則として7日間とする。
エ 情報収集
(ア) 要救助者の情報収集・整理
要救助者の情報については、署所での電話通報、駆け付け等のほか、パトロール隊、消防団、自主防災組織等により管内全域の早期把握に努めるとともに、両市対策本部との情報の共有化を図り、全ての情報を住宅地図等に記載し、計画的かつ管内を網羅できる救助計画を策定する。
(7) 救急
ア 活動の原則
(ア) 救命活動の優先
武力攻撃時の活動にあたっては、人命の救護を最優先する。
(イ) トリアージ
救護にあたっては、トリアージを行い、重症者を優先に処置・搬送し、その他のものはできる限り自主的な処置・搬送手段に委ね、救命率の向上を目指す。
(ウ) 特定行為
救急救命士は、特定行為のため医師の指示が必要な場合、電話等による通常の指示要請の他に現場周辺の医師に指示を依頼して可能な手段で特定行為を実施し、傷病者の救命に全力を上げる。
イ 救急活動体制
(ア) 出動
武力攻撃事態認定直後、直ちに非常招集等により救急隊6隊の出動体制を整え、効率的な救急活動を行う。
(イ) 仮救護所の設置
各救急隊は、管轄区域内の応急救護所が設置されるまでの間、一時的に効率を考えた場所に仮救護所を設置する。なお、養父市・朝来市保健担当部局が救護所を設置した時点で円滑に救護業務を引き継げるよう、仮救護所の設置にあたっては、消防車両等の通行及び部隊の指揮・運用に支障がないよう十分に配慮すること。
(ウ) 救護班等との連携
災害現場においては、救護班と密接な連携を図るとともに、仮救護所への救護班の派遣要請、救急車への医師同乗等効率的な活動を行う。
ウ 医療機関の情報収集
医療機関の情報収集は、兵庫県広域災害救急医療情報システムによる収集のほか、当該システムの使用不能時を想定して、次による情報収集を行う。
(ア) 管内病院の調査
通信班は、病院に相当の被害が予想される場合、電話又はパトロールにより、処置可能な傷病程度・人員等を調査する。
(イ) 受入可能病院の調査
通信班は、兵庫県広域災害救急医療情報システム及び前記調査結果を踏まえ管轄区域内の受入可能病院を把握するとともに、管轄区域外の受入可能病院の調査を行う。
(8) 消防団の活動
消防団は、安全が確保されている地域において消防長又は消防署長の所轄の下で行動し、消火活動及び住民の避難誘導、情報収集、消防警戒区域の設定、消防本部の活動支援等消防団が保有する装備、資機材等の活動能力に応じた活動を実施する。
9 現地調査の実施
(1) 現地調整所の設置
武力攻撃災害への対処や避難住民の誘導等を効率的かつ安全に実施するため、災害現場に所在する関係機関と協力し、相互に対応を調整する場(以下「現地調整所」という。)を設置し、必要な連絡調整を行う。
(2) 現地調整所の主な役割
・ 情報の共有及び役割分担の調整
・ 避難情報、被災情報等の広報の調整
・ 両市対策本部との連絡調整
10 緊急消防援助隊等の要請及び受入計画
(1) 県内応援及び緊急消防援助隊第1次派遣の要請
消防本部対策本部本部長は武力攻撃による被害が甚大で、管轄区域内の消防力では対応できないと判断した場合は、消防組織法第39条に基づく兵庫県広域消防相互応援協定(昭和63年8月1日)による県内応援要請を速やかに行うものとする。また、消防本部対策本部本部長は、両市対策本部本部長に緊急消防援助隊の要請指示を受け、兵庫県知事に対して消防組織法第45条に基づく緊急消防援助隊の出動を要請するものとする。
(2) 応援要請手続
ア 兵庫県広域消防相互応援協定による県内応援要請
イ 緊急消防援助隊の要請
(3) 応援部隊の受入要領
ア 兵庫県消防相互応援協定、緊急消防援助隊
(ア) 被災地情報の提供
本部長は、兵庫県下代表消防本部(神戸市消防本部)、県会長(神戸市消防長)及び近畿支部長(大阪市消防長)に対し、管轄区域内の被害状況、必要部隊、集結場所等を連絡する。
(イ) 集結場所の指定
応援隊の集結場所は、管轄区域内の被害状況を考慮して下記の場所を指定する。
a 南但消防本部
b 北近畿豊岡自動車道山東PA
c ジャスコ和田山ショッピングセンター
d ショッピングプラザアルバ
e やぶYタウン 駐車場
f 道の駅ようか 但馬蔵
g 養父市つるぎが丘公園
(ウ) 応援隊への任務指示及び活動場所への誘導
a 応援隊への任務支持
本部長は事前に集結場所へ責任者及び誘導員を派遣し、応援隊長に被害状況、任務及び派遣先を説明する。
b 活動場所への誘導
誘導員は応援部隊を支援拠点まで順次誘導する。
(エ) 応援部隊の活動拠点等の指定
応援部隊の活動を支援するため、全管内的な活動支援拠点及び各署所・本庁等の活動拠点を事前に選定し、発災後は支援拠点として指定する。なお各拠点に食料、簡易トイレ、燃料、寝具、医薬品等を準備する。
イ 応援部隊の運用要領
応援部隊の指揮体系は、指揮隊の隊長又は出動部隊の最高責任者が現場指揮をとる。なお、地理不案内の応援部隊の運用に際しては、管内地図を配布するほか、部隊毎に次の運用を行う。
(ア) 消火部隊
原則として、火災出動する消火部隊については、署所の部隊を1隊先導させる。
(イ) 救助部隊
原則として、署所の誘導員1名が同乗して出動する。
(ウ) 救急部隊
原則として、署所の救急隊員を1名同乗させ、4名編成で出動する。
11 武力攻撃災害による消防応援計画
(1) 消防応援計画の目的
この計画は、管轄区域外における武力攻撃災害に対し、被災地の情報をいち早く把握するとともに、消防組織法第39条(兵庫県広域消防相互応援)及び第45条(緊急消防援助隊)に基づく派遣出動を迅速かつ効果的に実施できるよう初動出動体制について必要な事項を定めるものである。
(2) 応援の区域
管轄区域外全域とする。
(3) 対象とする災害
管轄区域外における武力攻撃災害で、災害地の消防力では対処することが困難で、応援を要すると認められる災害全般を対象とする。
ア 第1次出動府県・・兵庫県、京都府、大阪府、鳥取県、岡山県、徳島県
イ 出動準備県・・・・福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、奈良県、和歌山県
島根県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県
佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
(4) 出動指令
消防長は、管轄区域外で武力攻撃災害が発生し、兵庫県消防相互応援協定等による応援要請を受けた場合に出動を指令する。また、応援要請前に災害情報を入手した場合、その応援の要否を判断し出動を指令する。なお、夜間・休日における初動対応については、当務隊長が消防長の指示に基づき実施する。
(5) 派遣出動要領
ア 派遣出動
消防長は、被災地における効果的な応援を行うため、発災の覚知及び応援要請を受けてから1時間以内で出動体制を整え部隊を派遣する。なお、派遣部隊の構成は、毎年度初めに消防長の決裁を受け決定するものとし、派遣計画については、但馬ブロックで定めたとおりとする。
イ 部隊の出動
但馬ブロックで集結し、派遣場所直近のサービスエリア又は指定場所に出動する。
発災地 | 集結場所 | 備考 |
京都府北部 | 豊岡市消防本部 | 但馬隊として出動し、派遣場所直近の高速道路サービスエリアで兵庫県隊本隊と合流する |
京都府中部、南部 | 南但消防本部 | |
大阪府 | ||
岡山県 | ||
鳥取県 | 美方広域消防本部 | |
徳島県 | 南但消防本部 |
(6) 派遣期間及び交替体制
ア 派遣期間
朝来市からの移動距離に応じ、派遣期間を次のとおりとする。
(ア) 兵庫県内→1泊2日
(イ) 第1次出動府県→2泊3日
(ウ) その他の地域→移動距離、交通事情、災害状況等を勘案し、期間指定の交替制又は交代要員を含めた派遣とするか消防長が決定する。
イ 交替体制
交替は次の例により実施する。
(ア) 1泊2日の例
災害発生の覚知
(イ) 2泊3日の例
災害発生の覚知
(7) 派遣隊の活動要領
ア 消火部隊
県隊長又は消火中隊長(神戸市消防局)の指示により、消火活動を行う。
イ 救助部隊
県隊長又は救助中隊長(尼崎市消防局)の指示により、救助活動を行う。
ウ 救急部隊
県隊長又は救急中隊長(姫路市消防局)の指示により、救急活動を行う。
エ 後方支援部隊
県隊長又は後方支援中隊長(神戸市消防局)の指示により、燃料、資機材、食料等の調達、隊旗場所の設置等の活動を行う。
(8) 出動準備品等
隊員資格 | 車両等 | 装備品 | |
消火部隊 | 隊員4人以上で編成 | 消防ポンプ自動車 | 65ミリホースを積載 |
救助部隊 | 救助活動に関する基準に規定する隊員 4人以上で編成 | ウインチ、クレーン、発電照明灯を装備した4WDの救助工作車 | 救助隊の編成、装備及び配置に基準を定める省令別表第1及び別表第2の救助器具 要救助者を検索するための高度救助用資機材 |
救急部隊 | 救急救命士の資格を有する隊員 救急隊員の行う応急処置等の基準第5条第2項に規定する隊員3名以上で編成 | 4WDの高規格救急車 | 高度救命処置用資機材 |
後方支援部隊 | 隊員2名以上で編成 | 被災地において、各部隊が72時間以上活動することを可能にするために必要な輸送・補給活動等を行うための設備等及び車両を備える | エアーテント 発電機 照明器具 |
※応援出場時の装備資機材
品名 | 数量 |
テント | 1 |
寝袋、グランドシート、リュック | 5 |
ポリタンク(20リットル) | 2 |
コンロ | 2 |
ヤカン | 1 |
鍋 | 1 |
食器 | 5 |
現金 | 3万~5万円 |
12 安全の確保
(1) 弾道ミサイル攻撃の場合(NBC攻撃を含む。)
現場における二次災害防止のため、弾種が判明するまでの間は、常に危険の高いNBC弾頭の可能性を念頭に置いた消防活動を実施する。
ア 留意点
(ア) 出動隊は、風上側からの接近、異臭の有無、人・動物の身体等への異常の有無など周囲の環境から安全の確認を行う。
(イ) 弾頭の種類が不明な場合は、NBC災害対応部隊がNBC災害対応用の装備及び資機材を用いて活動を行う。(現場検知、呼吸保護器具、防護服の着用等)
(ウ) 保有する装備、資機材等では対応不能な場合は、対応可能な装備を有する他機関等へ情報提供するとともに、市長を通じ、緊急消防援助隊等の応援出動の要請を行う。
(エ) NBC対応装備・資機材を保有していない部隊は、安全が確認できた地域において、消防警戒区域の設定、避難住民の誘導、情報収集、消火、救急搬送などの活動を行う。
(オ) 現地調整所において、警察等と情報を共有するとともに、消火、救助、救急、原因物質の撤去、汚染者の除染等の活動が安全に実施されるよう調整する。
(カ) 建物等の破壊状況を確認するなど二次災害の発生に注意する。
(2) ゲリラ・特殊部隊による攻撃の場合
現地調整所における情報共有により、消防本部、消防団が活動する区域の安全を確認する。
ア 留意点
(ア) 活動現場に所在する警察官等と緊急連絡体制を確保したうえで活動を行う。
(イ) 国から提供される安全に関する情報を迅速に受領するため、両市対策本部との緊急連絡体制を確保する。
(3) 消防警戒区域内で活動する場合の留意事項
設定した消防警戒区域内において消防本部、消防団が活動する場合は、攻撃による危険がないことを確認したうえで消防活動にあたる。この場合、現地調整所の機能を強化し、最新の情報が提供される体制をとる。
ア 留意点
(ア) 警察等からの継続的な安全に関する情報の収集体制の確保
(イ) 緊急連絡手段(無線機、拡声器、警笛等)の確保
(ウ) 緊急時における脱出手段・経路の確保
(エ) 消防警戒区域内で活動する部隊の進入及び退出管理の徹底
13 住民への協力要請
(1) 協力要請
消防吏員及び消防団員は、住民に対して、避難住民の誘導に必要な救助等の協力及び訓練参加を要請することができる。
(2) 要請事項
ア 避難住民の誘導への協力
イ 救助への協力
ウ 消火、負傷者の搬送、被災者の救助への協力
エ 保健衛生の確保への協力
14 警報の伝達、避難住民の誘導等
(1) 警報等の伝達
養父市・朝来市国民保護計画に基づく警報、避難の指示(その解除を含む。)等の住民への伝達については、両市対策本部と連携して、CATV及び防災行政無線によるサイレン吹鳴等により注意を喚起するとともに、保有する車両装備を有効に活用し、住民への伝達を実施する。
この場合、南但消防本部は巡回による伝達を行い、消防団は、区長、自主防災組織のリーダー、地域住民への個別伝達を原則とする。
(2) 避難住民の誘導
ア 避難住民の誘導
避難住民の誘導に当たっては、必要となる災害への対応活動を考慮しつつ、任務分担を両市対策本部において調整し、消防団が主となって行う避難誘導を支援する。そのための、消防団への必要な情報提供を行うとともに、活動状況を把握する。
イ 要援護者の運送
保有車両を有効に活用して、自力歩行困難な災害時要援護者の輸送にあたる。
ウ 消防団の活動
消防団は、自主防災組織等と連携して避難誘導にあたる。また、福祉関係機関等とも連携して、災害時要援護者の避難情報及び要避難地域内の残留者の確認にあたる。
15 武力攻撃災害兆候等の通報・報告
(1) 武力攻撃災害の兆候
消防本部が次の兆候(疑い含む)の情報を入手した場合は、養父市・朝来市国民保護担当部局を通じ養父市長及び朝来市長に即報するものとする。
・ 武力攻撃に伴う火災や建造物の倒壊
・ 多数の人が集まる場所での原因不明な多数の死傷者の発生
・ 不自然な場所での爆発災害
・ 動物等の不自然な大量死
・ 突然で不自然なスプレー散布や実験用機器等の放置情報
・ 傷病者による異常な臭気又は味覚の訴え若しくは症状に一定の傾向
(2) 被災情報の報告
消防本部は、被災情報及び事態の進展に応じた急激な変化、避難情報等を入手した場合は、両市対策本部に報告するものとする。
16 安全確保の支援及び危険物災害の発生防止
(1) 生活関連等施設の安全確保のための支援
消防本部は、養父市長及び朝来市長並びに生活関連等施設の管理者から支援の求めがあった場合又は自ら支援の必要があると認めたときは、両市対策本部等において、当該施設の主幹部局と連携して、指導、助言、体制の強化、資機材の提供、職員の派遣など可能な範囲で支援を行うものとする。
(2) 危険物にかかる武力攻撃災害の発生防止
消防本部は、武力攻撃事態等において区域内にある危険物製造所等における危険物の引火、爆発、空気中への飛散又は周囲への流出を防止するため、緊急の必要がある場合、南但広域事務組合管理者の指示に基づき、危険物製造所等の全部又は一部の使用の一時停止又は制限の命令等の措置を講ずるものとする。
17 消防庁長官等の消防に関する指示
(1) 応援等に関する指示
消防庁長官(緊急消防援助隊)及び兵庫県知事(兵庫県広域消防相互応援)の指示に迅速かつ適切に対応するため、災害の動向、消防庁等からの情報に注意し、迅速な出動体制を確保する。
(2) 応援出動
応援出動する場合、関係機関から活動に関する情報収集を積極的に行うとともに、対応資機材や装備を積載させるなど活動隊員の安全に配慮する。
18 施行期日
この訓令は、平成25年4月1日から施行する。